いよいよ大変だ。 御前がくうと邪魔になる 遠からぬうちに塩鯛の眼玉のごとく腐爛するにきまってる。 ところが委任された権力を笠に着て毎日事務を処理していると、これは自分が所有している権力で、人民などはこれについて何らの喙を容るる理由がないものだなどと狂ってくる。 顔なんか見た事もありません 一ヵ月も溜っているフケは遠慮なく、頸筋やら、寝巻の襟へ飛んでくる。 ところが鈴木さんは、うちじゃ評判がわるいのよ 中から見える綿は薄黒い。 それどころではない。 鼠の毒が総身にまわると大変だ、君どうかしてくれと責めるには閉口したね。 それで大に君をやり込めたつもりに違ない。 天道公平？ 人間にはたった一人ある。 もし人間が自己以外に飛び出す事が出来たら、飛び出す途端に自己はなくなってしまう。