AU34 (アクアガール)aquagirl ビジュークラッチバッグ

吾輩の眼玉はただ小さくなったり大きくなったりするばかりだが、人間の品隲とくると真逆かさまにひっくり返る。 金田君は車で自宅へ帰るところ、鈴木君は金田君の留守を訪問して引き返す途中で両人がばったりと出逢ったのである。 たまには敲き損なった弾丸が流れてしまう事もあるが、大概はポカンと大きな音を立てて弾ね返る。 無頓着なる主人は存外平気に構えて、別段抗議も申し込まずに打ち過ぎたのは、知らなかったのか、知っても咎めんつもりであったのか分らない。 だから昔からインスピレーションを受けた有名の大家の所作を真似れば必ず逆上するに相違ない。 しばらくすると先生は主人に向ってこうやって、瞼を撫でていると、だんだん眼が重たくなるでしょうと聞いた。 他人の人格を重んぜんと云うものだ。 可哀想に主人の眼はとうとう潰れてしまった。 先生、せんだって催眠術のかいてある本を読んだら、催眠術を応用して手癖のわるいんだの、いろいろな病気だのを直す事が出来ると書いてあったですが、本当でしょうかと聞く。 主人のもっとも貴重する命があぶない。 御維新前牛込に曲淵と云う旗本があって、そこにいた下男は百三十だったよそいつは、よく生きたもんですねああ、あんまり生き過ぎてつい自分の年を忘れてね。 これが逆かさに上ると怒り出す。 その方にはいろいろある。 ただ神経ばかり痛めて、からだは悪くなる、人は褒めてくれず。